WordPressで一からwebサイトを作成する、既存のテーマを変更したい。
こんな時に自分のPC上にサイトを構築するローカル環境は必須です。
本番環境を直接編集してサイトが表示されなくなってしまった…なんて絶対に避けたいです。
そうならないためにローカル環境でしっかりチェックして本番にアップするようにします。
でもローカル環境ってどうやって作ればいいの?という方にとてもおすすめなのが、 Local というツール。
そんな簡単便利、ローカル環境構築ツール Local の使い方メモです。
動作確認
- Localバージョン : 8.3.1
- 使用PC : Mac
- 確認日 : 2024/03/19
ローカル環境って何?という方へ
ローカル環境は、PCの中に疑似的なサーバーを構築し、自分のPC上だけでサイトを見ることができるものです。
ローカル環境は仮想環境とも言われ、作られたサイトは外部からは見ることができません。誰もが見れるようにインターネット上に公開されているものを「本番環境」と言って分けて使われます。
本番環境に限りなく近い環境を作ってテストをすることができるので、いきなり画面が真っ白…なんて事態を回避することができます。
レンタルサーバーやドメインなどを用意しなくてもサイトを作ることができるのもメリットです。
いちいちFTPでサーバーに送って確認してバグが出たら修正してまたサーバーに上げて確認して…といった手間を減らせますし、勉強のためにWordPressサイトを作るのにも役立ちます。
WordPressを動かすために必要な環境
WordPressのファイルがあるだけではローカル環境でサイトを確認することはできません。動かすために必要なものを用意する必要があります。
WordPressを使うために必要なもの
- PHPが動くためのwebサーバー
- データベースサーバー
さらにWordPressを実行するために推奨される環境は、以下のようになっています。
- PHP バージョン7.4以上
- MySQL 5.7以上、またはMariaDB 10.3以上
- HTTPS対応
※上記情報は2024/3/19時点のものです。PHPやMySQLなどのアップデートにより変更されます。
サーバーは Apache や Nginx を推奨していますが、最低限必要なのはPHPとMySQLが動くサーバーです。
またPHP5.6.20以上、MySQL5.0以上でも動作させることはできるのですが、これらは既にサポートが終了しているバージョンのため、セキュリティが脆弱です。新規にサイトを作るなら推奨環境、できれば最新のバージョンを設定しましょう。
こういった仮想環境が難なく作れるなら問題ありませんが、そうではない場合は勉強コストや作業コストが膨大にかかります。
そこでその環境を自動的に構築してくれるツールが役立ちます。
ローカル環境を簡単に作ってくれる「Local」の特徴
Localはとても簡単にWordPressが動くローカル環境を作ってくれます。
ちなみに以前は「Local by flywheel」という名前でしたが、いつからか「Local」に名称変更されていました。
Local の特徴は以下のようなものがあげられます。
- 無料で利用できる
- 複数のWordPressサイトを作ることが可能
- ローカルでもSSLサポートがある
- SSH / WP-CLI にアクセスできる
- 自分のPC上だけでなく、外部に共有することも可能
- サーバーやデータベース、PHPのバージョンを本番環境に合わせる(近づける)ことができる(環境オプションが柔軟に変更できる)
- ユーザー・パスワード情報を入力せずとも管理画面に入ることも可能
- メールの送受信も可能(ローカル内でのメール確認)
本当に便利なので、WordPressのローカル環境構築方法をお探しの方は試してみてください。他にも環境構築ツールはいろいろありますが、WordPressに限定するなら他のツールに比べて簡単で使い勝手が良いのでおすすめです。
Local の使い方手順
- Localをインストール
- サイト名をつける
- PHP・サーバー・MySQL(データベース)を設定する
- WordPressログイン用のユーザー名とパスワードを設定する
- ログインしてWordPressの設定をする
公式サイトのトップページにDOWNLOADリンク(「OR DOWNROAD FOR FREE」でもOK)があるので、そちらをクリックして Local をダウンロードします。
Localをインストール
まずはOSを選択します。「Please choose your platform」をクリックすると、Mac や Windows といった OSリストが表示されるので、ここから自分の使っているものを選びます。
Mac利用者で Intel か Apple Silicon か分からない方はこちらが参考になります。
Macの中身を知っていますか? AppleシリコンとintelCPU | りんご堂中古整備店
OSを選択すると、氏名・組織タイプ・メールアドレスの入力欄が表示されます。氏名は省略可能ですが、他の2つは必須項目です。
入力したら「GET IT NOW!」をクリック。
入力が問題なければそのままダウンロードが開始されます。
これですぐにダウンロードが始まるのですが、されない場合は「click here」から、再度ダウンロードしてみましょう。
ダウンロードが無事完了したら、ファイルを解凍してインストール。
インストールが完了したら構築環境を設定していきます。一番初めは「CREATE A NEW SITE」というボタンが表示されるのでそれをクリック。左下の「+」ボタンからも設定画面に移動します。
サイト名とフォルダ保存場所設定
初めの設定はサイト名です。Local では日本語ドメインは使用できないようで、サイト名を日本語のみにするとエラーになってしまいました。
日本語のみはエラーになってしまいますが、日本語と英数字を組み合わせれば登録できます。
ここで設定するサイト名がローカル環境でのドメインになりますが、サイト名入力の下にある「ADVANCED OPTIONS」でドメインを変更することができます。またフォルダの保存場所の変更もこちらで可能です。
PHP・サーバー・データベース環境設定
次に以下の環境を設定します。
- PHPのバージョン
- サーバー(nginx か Apache)
- MySQLのバージョン
特にこだわりがない場合、Preferred の設定を確認してそれで良ければそのまま次へ。(PreferredはLocalの推奨設定)
できれば本番環境と合わせておいた方がいいので、Preferred の設定が予定している本番環境と異なるようであれば「Custom」の方で設定します。全く同じにできなくても近いバージョンを設定しましょう。
これらの設定は後から変更することもできます。
ローカル環境にないバージョンを選んだ場合、LOCAがサイト作成と同時にダウンロードします。
ユーザーネーム・パスワード・メール設定
最後にユーザーネームとログインパスワードを設定して完了。ログイン時に必要となるのでメモはお忘れなく。Emailは初期値で「mailhog@flywheel.local」が入力されていて、そのまま進めます。
こちらの「ADVANCED OPTIONS」ではマルチサイトにするかどうかを選べます。マルチサイトにしない場合は初期値のままに。マルチサイトを作成する場合はサブディレクトリ、サブドメインのどちらで作成するかを選びます。
【参考】WordPress マルチサイトとは
この入力が完了したら「ADD SITE」をクリック。後は自動でLocalがWordPressをインストールして初期設定してくれるので待ちます。
PCのパスワード(起動時に入力するパスワード)を求められることがあるので、入力して進めてください。
インストールできたら左側の一覧に表示されます。
作成されたサイトを確認する
構築が完了すると以下のような画面が表示されます。
作成されたものは起動された状態になっています。サイトの起動を終了させたいときは右上にある「STOP SITE」をクリック。逆に始めたいときは、「START SITE」をクリックすると切り替わります。
その他常時使用するのは「Wp Admin」と「Open site」ボタンです。
「Wp Admin」 → WordPressの管理画面。
「Open site」 → ローカルサイトのトップページが表示される。
初期状態で管理画面にいこうとすると、ログインが必要です。ログインは設定したユーザー名とパスワードを入力します。
毎回ログイン情報を入力しなければならないのは面倒なものです。そこでLocalにはうれしい「One-click admin」という機能があります。こちらをONにしてから「WP Admin」ボタンをクリックすると、パスワード入力をせずとも管理画面に遷移することができます。
WordPressでの初期設定
LocalでインストールされたWordPressは英語バージョンになっているので、日本語に変更します。
【settings → General】をクリック
【Site Language】で「日本語」を選択
【Timezone】も日本仕様に変更します。(UTC+9またはTokyo)
変更したら「Save Change」 をクリックして保存すれば日本語化の完了です。
SSL設定
SSL通信はもはや一般的なので、本番環境により近づけるためにローカル環境でも設定しておきましょう。デフォルトではSSLになっていないので変更が必要です。
Overviewの画面に「SSL」があるので「Trust」をクリック。グレースケールの「Trusted」になればSSL設定の完了です。
Localから「Open site」などのボタンからだと「http」の接続になってしまうので、URLタブで「https」に変更して表示されるかどうか確認します。無事サイトが表示されれば設定完了です。
いちいちURLでhttpsに変更するのも面倒なので、WordPressでサイトURLの設定も変更します。
変更したら再度ログイン画面が表示されるので入力してログインします。
この設定をすることによって、「Wp Admin」ボタンをクリックした際に自動的に https で管理画面が表示されるので、SSL接続の状態でサイトを確認できます。
「Open site」ボタンからサイトに移動した場合、この設定をしてもhttpでの表示になってしまったので、「Wp Admin」からアクセスするのがおすすめです。
SSL設定ができない場合
SSL設定をしようとしたときに以下のようなエラーが出て設定できないことがあります。
Localの公式にも紹介されているのでこちらからも解決方法は確認できます。
Managing a Local site’s SSL certificate in macOS
インストールフォルダの場所
Localでインストールされたファイルはサイト名の下にある「Go to site folder」からアクセスできます。
設定したサイト名のフォルダ > app > public と進んでいくとWordPressのファイル群があります。
テーマのカスタマイズを行う場合は【wp-content > themes】に移動して行います。オリジナルテーマを使用する場合もここに作成します。
ローカル環境のサイトを他のPCからもみれるようにする【Live Link】
ローカル環境で作成したサイトは、通常自分のPCからしか確認できませんが、LocalではLive Linkというものがあって、他のPCからでも見れるようにすることができます。
この機能を使用するならLocalのアカウントが必要になるので、アカウントを持っていない人はアカウントを作成する必要があります。Local公式サイトの「CREATE AN ACCOUNT」から登録できます。
Localのアカウントは持っているけど使用できない、という人は Live Link の横にある Enable にカーソルを合わせると、ログイン用のリンクが表示されるので、クリックしてログインすれば使えるようになります。
Localのアカウントにログインしている状態であれば「Enable」をクリックすると Live Link が利用できます。
Live Link に接続されると共有URLと、アクセスした時に求められるユーザー名とパスワードが表示されます。これらの情報を入力することで別のPCからも確認することができます。
Live Link を使う際の注意点は、インターネットに接続されている状態にしておくこと、Localを起動させておく必要があることです。PCがスリープ状態になっても見れなくなるので、自分のPCとLocalを起動させている時のみ確認できることを覚えておきましょう。
また表示速度がいいわけではないので、他の人が確認する場合その点も伝えておいた方がいいと思います。
Localで作成したサイトのバックアップと削除
Localではバックアップデータをエクスポートすることもできます。該当のサイトを起動させ、サイト名の横にある3点リーダーから【Export】をクリック。(停止状態だとExportをクリックできないので、起動させてから)
画面が変わったら「Export site」をクリックすると圧縮データでエクスポートできます。
もう使っていないけどローカル環境のデータは残しておきたい時や、サイトを変更する際のバックアップとして活用できます。
削除するときは、エクスポートの時と同様にサイト名の横にある3点リーダーのところに【Delite】があるのでそちらをクリックします。
本番環境の公開サイトをローカル環境へコピー
すでに公開されているWordPressサイトの修正、リニューアルなどをする際にも、ローカル環境で確認してから再度アップするのが安心です。
本番サイトをLocalにコピーするときは「All in One Wp Migration」というプラグインを使っています。コピーしたいサイトデータのファイルを生成し、別のサイトへインポートするだけなので簡単にサイトをコピーできるプラグインです。
LocalのWordPressバージョンを変更したい
LocalはすぐにWordPressをインストールしてくれますが、WordPressバージョンは最新のものになります。
既存サイトの場合、何かしらの理由で最新版にしていないこともあると思います。
こういった場合、WordPressのバージョンをダウングレードする必要があります。
変更するためにはプラグイン、もしくはWP CLIを利用してバージョンを変更できます。
【参考】WordPressローカル環境構築ツール「Local」のWordPressバージョン変更方法 WP CLI編
WordPressダウングレードプラグインはこちら
WP Downgrade | Specific Core Version
LOCALのサイトにエラーが出てしまった場合
LOCALを使っていると、「SSL設定ができない場合」のところで紹介したようなエラーが出ることもしばしばあります。
特に思い当たることがなく原因不明な場合、LOCALを一旦終了させて再起動してみてみたり、PC自体を再起動させると直ることがあります。何度かエラーが発生したことがあるのですが、私の場合はこの方法で直ることが多いです。新しいバージョンのインストール後にすぐ新しくサイトを作ったりしたときなんかは有効だと思います。
LOCALの公式でも解決策を見つけられるかもしれません。英語表記のみではありますが、ヘルプドキュメントや質問やその回答が寄せられているコミュニティページがあるので、表示されるエラーで検索して解決策を探してみてください。
本番環境と間違えないように注意
本番環境とローカル環境を同時に確認していたりすると、ローカル環境だと思っていたが本番環境の方だった…というミスはしばしば起こり得ます。
編集する前にURLを確認して、操作しているのがローカル環境のものか本番環境のサイトかはしっかりチェックするようにしましょう。
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